タブブラウザ雑感 御三家−DonutP、MDIBrowser、Sleipnir 現在タブブラウザ界で御三家と言えば、DonutP、MDIBrowser、Sleipnirの三つである。 これは俺の個人的な見解だけでなく、衆目の一致したところだろう。 大雑把にいうなら完成度のDonutP、多機能のMDIBrowser、 デザインの良さと完成度、多機能を兼ね備えたSleipnirといったところか。 さてSleipnirについては、少々長くなる。 初めてSleipnirを使って見たとき、 「この制作者は手慣れている。以前にもソフトウェアを開発していたのではないか。  それもシェアウェア。お金を取った分だけ責任を持って作り込み、かつサポートしていた経験があるのでは・・」 と感じた。同時に「この技術力からして、間違いなくこれは最強のタブブラウザの一つになる」とも。 Sleipnirは賛否の多いタブブラウザである。それは他のブラウザの模倣が多いことに依るのか。 そもそもSleipnirはCuamのカスタマイズ性やMoon風のメニューなど、 更新の止まったタブブラウザのユーザーを取り込もうとする意図が見られた。 そして他のタブブラウザの機能を取り込み、ユーザーの意見を採り入れ、 完成度の高く、隙の無いブラウザへと成長した。 世間の評価も上々、タブブラウザ推奨委員会でもA+のお薦め品ではある。 しかし、俺はSleipnirに対し常に違和感を覚えている。 確かに見た目はいいし、機能も豊富だ。しかし、どことなく無機的だ。人間味に欠けるとでも言おうか。。 見た目には拘っているが、一つ一つの機能が煮詰められて無いというか・・。 ユーザーに言われたから、機能を盛り込んでみました、で止まっている。その先がない。 存在はしていても、使いにくいという機能が多いのだ。 制作者の柏木氏は高い技術力と繊細な神経の持ち主であろう。 某画像編集ソフトで培われた経験を元にタブブラウザ界へと参入し、 瞬く間にユーザーが望む全ての機能を盛り込んだものを作り上げた。 まさに一世を風靡する勢いで、一般公開後、わずか半年でかなりのシェアを占めてしまった。 しかし、どうもSleipnirには何かが欠けている。 それは何か。 ソフトウェアへの思い入れが少ないように思うのだ。 制作者の全存在を懸けたものでは無く、あくまで自分の開発した多数のソフトのなかのひとつ、 としてしか見ていないのではないか。(それがいい、悪いということでは無いのだが。) 多くのユーザーの意見は採り入れた、では、制作者の意見、意図は何処にあるのだろうか? それが見えない。 確かにカスタマイズ性は高い。しかし、どうカスタマイズするかはユーザー側に放り投げすぎている気がする。 俺は思うのだ、柏木氏はSleipnirを常用しているのだろうか? 常用しているなら、一つ一つの機能を煮詰めようとするはずではないか? 果たして氏はSleipnirを愛しているのだろうか、と。 結論 Sleipnirには愛が足りない。ユーザーからの愛は有り余るほどだが。 (補足:後にSleipnir作者の柏木氏本人と見られる方から掲示板に投稿があった。  常用しているとのことである。) さて、次はMDIBrowserである。 MDIBrowserの印象は硬派である。制作者武田氏の人柄が現れているのだろうか。 多機能であり、無骨であり、質実剛健である。 取っつきは悪いが、使い込むほど使いやすくなる。もちろんユーザーに媚びているような部分はない。 武田氏は天才肌の人であろう。 ユーザーの意見も聞くが、基本的に自由奔放に、自分の好きなように作り上げている。 それでいて完成品は多くの人を魅了する。まさに天才の所以か。 MDIBrowserとSleipnirはいくつかの点で、非常に対照的である。 まず見た目だが、MDIBrowserはどことなく泥臭い。Sleipnirほどには洗練されていない。 進化の速さも、疾風のような登場、爆発的な成長とシェアの確保を果たしたSleipnirと違い、 MDIBrowserはこつこつと機能を積み重ね、着実に人気を得てきた。実はMDIBrowserは長い歴史を持つブラウザなのだ。 また、機能の豊富さは並ぶものがあるが、取り入れ方が違う。 例えば履歴とお気に入りバーが別になっていたり、アドレスバーが検索バーをかねていたりと Sleipnirを含む他の多くのタブブラウザはこの辺、みな同じようなのに、MDIBrowserだけは違う。 制作者の姿勢の違いが良く現れているといえよう。 MDIBrowserと相性があう人は幸せである。逆に相性が合わない人は使うべきではない。 残念ながら俺には微妙に合わない、タブ周りだけだが・・。 DonutPはDonutの系譜に連なるもので、シンプルかつ判りやすいインターフェースに加え、 検索バーにマウスジェスチャと、本家Donutには無い有用な機能を備えている。 またCuamからプロキシリストの機能も継承した。 それでいて本家から乖離した印象は受けず、Donut系特有の軽さと高機能、高い完成度を備え 初心者から上級者まで誰にでも薦められる逸品である。 Donutのイメージを損なうことなく、DonutPを制作してきたUH氏は非常に律儀な人では無かろうか。 DonutPへの要望にリンク抽出があるが、UH氏は採用する気はなさそうだ。(2002/08/28現在) リンク抽出自体はDonut系のUIを損ねることもなく、特に搭載が難しい機能でも無いと思われるが、 これこそがDonut系ブラウザにリンク抽出は不要という氏の意志を示すものか。 はっきり言ってDonutPへの文句は全くない。お気に入りがIE互換なのはむしろ歓迎するし、 リンク抽出もIrvine等が拡張したメニューを使えばなんら問題はない。 さて、これら三つのなかで、最も優れているブラウザは何か? 愚問である。優れている、の基準が人それぞれに違うのだから。 では、タブブラウザって何? レベルの初心者へのお薦めは? まず完成度と機能の豊富さが売りのSleipnirはどうか。 残念ながらSleipnirは明らかに初心者向けに見えるにもかかわらず、初心者向けではない。 ツールバーのカスタマイズ一つ取っても、追加や削除の仕方を覚えるのが一苦労であろう。 MDIBrowserはどうか? 取っつきが悪いと書いたがDonut系に比べればの話であり、 実際はそれほど特異なユーザーインターフェースではない。少し苦労するだけで済むだろう。 しかし、やはり本命はDonutPである。IEから移行し、なんの違和感もなく使えるであろう。 初心者向けに絞るなら、DonutPの圧勝である。 では、ある程度タブブラウザに慣れた人へのお薦めは? それは自分で決めることだろう。自分で取捨選択出来ないなら「慣れた」なんて思うべきではない。 文責 めるてぃ 2002/08/28